どこまで言っていいものか

かつて、ちょっと考えられないミスが原因で金銭的な被害を受けたことがある。

普段の仕事では一切接点のない人(会社)なのでもう会うことはないと思っていたのだけど、たまたまその人と接触することになった。

当時、相手の会社のかなり偉い人が出張って来るほどの騒動になったけど、全面的に非を認めて補償をしてもらい、解決している。その時は張本人の意味不明かつ虚偽の説明に堪忍袋の緒が切れて思いっきり怒ったけど、話としては正式に決着がついているので今更どうこう言うつもりはない。

が、数年ぶりに接触したその人の態度がどうにも気になってしまい、うちに来るのは別の人に代えてほしいと言ってしまおうかと悩んでいる。

その不祥事の時、やらかした本人は水滴を垂らしたストローの袋みたいにちっちゃくなり、「自分にも子どもがいるが、常日頃嘘やごまかしをしないよう言っており、顔向けができない」と絞りだすように言っていたのを思い出したのだ。

私が「あなたはやっぱりいや」と言っても、言った私はそれっきりすぐに忘れてしまうだろう。担当は変更になり、それまでだ。

だけど言われた本人には大事に思う家族がいる。出禁にされた日はどんな顔して帰るのかなとか想像してしまう。ただでさえ、今回の連絡もしたくはなかったろうに(というかなんでわざわざその人を寄越したのだろうか)、追い打ちをかけるようなことを言うのもなあと自問する。

どうしたもんか。

私は仕事にそこまで情熱を持っているわけではないので、クレームを言われてもそれで奮起することはなく、何日もくよくよとへこみ、やる気がなくなっていくだけだ。それなのに自分がむかついた相手にはさらりと言ってしまうのかという葛藤もある。

ほんとに、どうしたもんだろうか。